賠償責任補償特約

第1章 用語の定義条項

第1条(用語の定義)

この特約において、次の用語の意味は、それぞれ次の定義によります。

用語 定義
財物の損壊

財物の滅失、汚損または損傷をいいます。

身体の障害

傷害、疾病、後遺障害または死亡をいいます。

他の保険契約等

第2条(保険金を支払う場合)の全部または一部に対して支払責任が同じである他の保険契約または共済契約をいいます。

賠償責任保険金額

保険証券記載の賠償責任保険金額をいいます。

保険金

賠償責任保険金をいいます。

保険事故

被保険者が他人の身体の障害または財物の損壊について、法律上の損害賠償責任を負担する原因となった第2条(保険金を支払う場合)の事故をいいます。

第2章 補償条項

第2条(保険金を支払う場合)

(1)

当会社は、被保険者が責任期間中に生じた偶然な事故により、他人の身体の障害または他人の財物の損壊について、法律上の損害賠償責任を負担することによって被った損害に対して、この特約および普通保険約款の規定に従い賠償責任保険金を支払います。

(2)

(1)の被保険者が責任無能力者の場合は、その者の親権者等(注)を被保険者とします。ただし、当会社が賠償責任保険金を支払うのは、その責任無能力者が責任期間中に生じた偶然な事故により他人に加えた身体の障害または財物の損壊について、親権者等(注)が法律上の損害賠償責任を負担することによって被った損害にかぎります。

(注) 親権者等
親権者またはその他の法定の監督義務者をいいます。

第3条(保険金を支払わない場合-その1)

当会社は、次の1.から5.までのいずれかに該当する事由によって生じた損害に対しては、賠償責任保険金を支払いません。

  1. 保険契約者(注1)または被保険者の故意
  2. 戦争、外国の武力行使、革命、政権奪取、内乱、武装反乱その他これらに類似の事変。ただし、テロ行為(注2)を除きます。
  3. 核燃料物質(注3)もしくは核燃料物質(注3)によって汚染された物(注4)の放射性、爆発性その他の有害な特性またはこれらの特性による事故
  4. 2.もしくは3.の事由に随伴して生じた事故またはこれらに伴う秩序の混乱に基づいて生じた事故
  5. 3.以外の放射線照射または放射能汚染
  • (注1) 保険契約者
    法人である場合は、その理事、取締役または法人の業務を執行するその他の機関をいいます。
  • (注2) テロ行為
    政治的、社会的もしくは宗教・思想的な主義・主張を有する団体・個人またはこれと連帯するものがその主義・主張に関して行う暴力的行動をいいます。
  • (注3) 核燃料物質
    使用済燃料を含みます。
  • (注4) 核燃料物質(注3)によって汚染された物
    原子核分裂生成物を含みます。

第4条(保険金を支払わない場合-その2)

当会社は、被保険者が次の1.から12.までのいずれかに該当する損害賠償責任を負担することによって被った損害に対しては、賠償責任保険金を支払いません。

  1. 被保険者の職務遂行に直接起因する損害賠償責任
  2. もっぱら被保険者の職務の用に供される動産の所有、使用または管理に起因する損害賠償責任
  3. 被保険者の所有、使用または管理する不動産に起因する損害賠償責任
  4. 被保険者の使用人が被保険者の事業または業務に従事中に被った身体の障害に起因する損害賠償責任。ただし、被保険者が家事使用人として使用する者に対する損害賠償責任を除きます。
  5. 被保険者と第三者との間に損害賠償に関する約定がある場合において、その約定によって加重された損害賠償責任
  6. 被保険者と同居する親族(注1)および旅行行程を同じくする親族に対する損害賠償責任
  7. 被保険者が所有、使用または管理する財物の損壊について、その財物について正当な権利を有する者に対して負担する損害賠償責任。ただし、次のa.~c.までに掲げる損害を除きます。
    1. 宿泊施設の客室(注2)に与えた損害
    2. 住宅等の居住施設内の部屋(注3)に与えた損害。ただし、建物またはマンションの戸室全体を賃借している場合は除きます。
    3. 賃貸業者から保険契約者または被保険者が直接借り入れた旅行用品または生活用品に与えた損害
  8. 被保険者の心神喪失に起因する損害賠償責任
  9. 被保険者または被保険者の指図による暴行または殴打に起因する損害賠償責任
  10. 航空機、船舶(注4)、車両(注5)、銃器(注6)の所有、使用または管理に起因する損害賠償責任
  11. 汚染物質(注7)の排出、流出、いっ出または漏出に起因する損害賠償責任。ただし、汚染物質の排出、流出、いっ出または漏出が不測かつ突発的なものである場合を除きます。
  12. 罰金、違約金または懲罰的賠償額に対する損害賠償責任
  • (注1) 被保険者と同居する親族
    旅行のために一時的に別居する親族を含みます。
  • (注2) 宿泊施設の客室
    客室内の動産ならびに客室外におけるセイフティボックスのキーおよびルームキーを含みます。
  • (注3) 部屋
    部屋内の動産を含みます。
  • (注4) 船舶
    原動力がもっぱら人力であるもの、ヨットおよび水上オートバイを除きます。
  • (注5) 車両
    原動力がもっぱら人力であるもの、ゴルフ場の乗用カートおよびレジャーを目的として使用中のスノーモービルを除きます。
  • (注6) 銃器
    空気銃を除きます。
  • (注7) 汚染物質
    固体状、液体状、気体状のもしくは熱を帯びた有害な物質または汚染の原因となる物質をいい、煙、蒸気、すす、臭気、酸、アルカリ、化学製品、廃棄物(注8)等を含みます。
  • (注8) 廃棄物
    再生利用のための物質を含みます。

第5条(支払保険金の範囲)

当会社が支払う賠償責任保険金の範囲は、次の1.から5.までに掲げるものにかぎります。

  1. 被保険者が損害賠償請求権者に支払うべき損害賠償金
  2. 保険事故が発生した場合において、被保険者が第7条(事故の発生)(1)の2.に規定する権利の保全または行使に必要な手続をするために要した費用およびその他損害の発生または拡大の防止のために必要または有益であった費用
  3. 2.の損害の発生または拡大の防止のために必要または有益と認められる手段を講じた後において、被保険者に損害賠償責任がないと判明した場合、被保険者が被害者のために支出した応急手当、護送その他緊急措置に要した費用および支出についてあらかじめ当会社の書面による同意を得た費用
  4. 損害賠償請求の解決について、被保険者が当会社の書面による同意を得て支出した訴訟費用、弁護士報酬または仲裁、和解もしくは調停に要した費用
  5. 第8条(当会社による解決)(1)に規定する当会社による損害賠償請求の解決に協力するために被保険者が支出した費用

第6条(保険金の支払額)

当会社が支払うべき賠償責任保険金の額は、次の1.および2.の金額の合計額とします。

  1. 1回の保険事故につき、損害賠償金が保険証券記載の免責金額を超過する場合は、その超過した額。ただし、1回の保険事故につき、賠償責任保険金額を支払の限度とします。
  2. 前条2.から5.までの費用については、その全額。ただし、同条4.の費用は、1回の保険事故につき、同条1.の損害賠償金の額が賠償責任保険金額を超える場合は、賠償責任保険金額の同条1.の損害賠償金に対する割合によってこれを支払います。

第7条(事故の発生)

(1)

保険事故により他人の身体の障害または財物の損壊が発生したことを知った場合は、保険契約者または被保険者は、次の1.から6.までに掲げる事項を履行しなければなりません。

  1. 保険事故発生の日時、場所、被害者の住所、氏名、年齢、職業、保険事故の状況およびこれらの事項の証人となる者がある場合は、その住所、氏名を保険事故の発生の日からその日を含めて30日以内に、また、損害賠償の請求を受けた場合は、その内容を、遅滞なく、当会社に通知すること。この場合において、当会社が書面等による通知を求めたときは、これに応じなければなりません。
  2. 被保険者が他人に対して損害賠償の請求をすることができる場合は、その権利の保全または行使に必要な手続をとり、その他保険事故によって生じた損害の発生および拡大の防止につとめること。
  3. 損害賠償責任の全部または一部を承認しようとする場合は、あらかじめ当会社の承認を得ること。ただし、応急手当、護送その他の緊急措置をとることを妨げません。
  4. 損害賠償の請求についての訴訟を提起する場合または提起された場合は、ただちに当会社に通知すること。
  5. 他の保険契約等に関する事実の有無および内容(注)について遅滞なく当会社に通知すること。
  6. 1.から5.までのほか、当会社が特に必要とする書類または証拠となるものを求めた場合は、遅滞なく、これを提出し、また当会社が行う損害の調査に協力すること。

(2)

保険契約者または被保険者が正当な理由がなく(1)の1.から6.までに規定する義務に違反した場合は、当会社は、次の金額を差し引いて賠償責任保険金を支払います。

  1. (1)の1.、4.、5.または6.の規定に違反した場合は、それによって当会社が被った損害の額
  2. (1)の2.に違反した場合は、損害の発生または拡大の防止ができたと認められる額
  3. (1)の3.に違反した場合は、損害賠償責任がないと認められる額

(3)

保険契約者または被保険者が正当な理由がなく(1)の規定による通知もしくは説明について知っている事実を告げなかった場合もしくは事実と異なることを告げた場合は、当会社は、それによって当会社が被った損害の額を差し引いて賠償責任保険金を支払います。

(注) 他の保険契約等に関する事実の有無および内容
既に他の保険契約等から保険金または共済金の支払を受けた場合は、その事実を含みます。

第8条(当会社による解決)

(1)

当会社は、必要と認めた場合は、被保険者に代わって自己の費用で被害者からの損害賠償請求の解決に当たることができます。

(2)

(1)の場合は、被保険者は、当会社の求めに応じ、その遂行について当会社に協力しなければなりません。

第9条(保険金の請求)

(1)

この特約にかかる保険金の当会社に対する保険金請求権は、保険事故が発生し、被保険者が損害賠償請求権者に対して負担する法律上の損害賠償責任の額について、被保険者と損害賠償請求権者との間で、判決が確定した時、または裁判上の和解、調停もしくは書面による合意が成立した時から発生し、これを行使することができるものとします。

(2)

この特約にかかる保険金の請求書類は、次の1.から8.までに掲げる書類とします。

  1. 保険金請求書
  2. 保険証券
  3. 当会社の定める事故状況報告書
  4. 示談書その他これに代わるべき書類
  5. 損害を証明する書類
  6. 賠償責任保険金の請求の委任を証する書類および委任を受けた者の印鑑証明書(注)
  7. 損害賠償金の支払または損害賠償請求権者の承諾があったことを示す書類
  8. その他当会社が普通保険約款第27条(保険金の支払時期)(1)に定める必要な事項の確認を行うために欠くことのできない書類または証拠として保険契約締結の際に当会社が交付する書面等において定めたもの

(注) 印鑑証明書
賠償責任保険金の請求を第三者に委任する場合とします。

第10条(他の保険契約等がある場合の保険金の支払額)

(1)

第2条(保険金を支払う場合)の損害に対して保険金を支払うべき他の保険契約等がある場合において、それぞれの支払責任額の合計額が損害の額を超えるときは、当会社は、次に定める額を賠償責任保険金として支払います。

  1. 他の保険契約等から保険金または共済金が支払われていない場合
    この保険契約の支払責任額
  2. 他の保険契約等から保険金または共済金が支払われた場合
    損害の額から、他の保険契約等から支払われた保険金または共済金の合計額を差し引いた残額。ただし、この保険契約の支払責任額を限度とします。

(2)

(1)の損害の額は、それぞれの保険契約または共済契約に免責金額の適用がある場合は、そのうち最も低い免責金額を差し引いた額とします。

第11条(代位)

(1)

損害が生じたことにより被保険者が損害賠償請求権その他の債権(注)を取得した場合において、当会社がその損害に対して賠償責任保険金を支払ったときは、その債権は当会社に移転します。ただし、移転するのは次の1.または2.のいずれかの額を限度とします。

  1. 当会社が損害の額の全額を賠償責任保険金として支払った場合
    被保険者が取得した債権の全額
  2. 1.以外の場合
    被保険者が取得した債権の額から、賠償責任保険金が支払われていない損害の額を差し引いた額

(2)

(1)の2.の場合において、当会社に移転せずに被保険者が引き続き有する債権は、当会社に移転した債権よりも優先して弁済されるものとします。

(3)

保険契約者および被保険者は、当会社が取得する(1)または(2)の債権の保全および行使ならびにそのために当会社が必要とする証拠および書類の入手に協力しなければなりません。この場合において、当会社に協力するために必要な費用は、当会社の負担とします。

(注) 損害賠償請求権その他の債権
共同不法行為等の場合における連帯債務者相互間の求償権を含みます。

第12条(先取特権)

(1)

損害賠償請求権者は、被保険者の当会社に対する保険金請求権(注)について先取特権を有します。

(2)

当会社は、次の1.から4.までのいずれかに該当する場合に、この保険契約の支払責任額を限度とし、賠償責任保険金の支払を行うものとします。

  1. 被保険者が損害賠償請求権者に対してその損害の賠償をした後に、当会社から被保険者に支払う場合。ただし、被保険者が賠償した金額を限度とします。
  2. 被保険者が損害賠償請求権者に対してその損害の賠償をする前に、被保険者の指図により、当会社から直接、損害賠償請求権者に支払う場合
  3. 被保険者が損害賠償請求権者に対してその損害の賠償をする前に、損害賠償請求権者が(1)の先取特権を行使したことにより、当会社から直接、損害賠償請求権者に支払う場合
  4. 被保険者が損害賠償請求権者に対してその損害の賠償をする前に、当会社が被保険者に賠償責任保険金を支払うことを損害賠償請求権者が承諾したことにより、当会社から被保険者に支払う場合。ただし、損害賠償請求権者が承諾した金額を限度とします。

(3)

保険金請求権(注)は、損害賠償請求権者以外の第三者に譲渡することはできません。また、保険金請求権(注)を質権の目的とし、または(2)の3.の場合を除いて差し押さえることはできません。ただし、(2)の1.または4.の規定により被保険者が当会社に対して賠償責任保険金の支払を請求することができる場合を除きます。

(注) 保険金請求権
第5条(支払保険金の範囲)の2.から5.までの費用に対する保険金請求権を除きます。

第13条(普通保険約款の適用除外)

(1)

普通保険約款第3条(保険金を支払わない場合-その1)から第5条(保険金の支払額)まで、同第10条(職業または職務の変更に関する通知義務)、同第11条(目的地の変更に関する通知義務)、同第20条(保険料の取扱い-告知義務・通知義務に伴う変更等の場合)(2)、(3)、(6)および(7)、同第25条(事故の通知)ならびに同第31条(代位)の規定は適用しません。

第14条(普通保険約款の読み替え)

この特約については、普通保険約款を次のとおり読み替えて適用します。

  1. 第2条(保険金を支払う場合)(4)の規定中「(1)の規定」とあるのは「この特約第2条(保険金を支払う場合)の規定」
  2. 第27条(保険金の支払時期)(注1)の規定中「前条(2)および(4)」とあるのは「この特約第9条(保険金の請求)(2)および普通保険約款第26条(保険金の請求)(4)」
  3. 第30条(時効)の規定中「第26条(保険金の請求)(1)に定める時」とあるのは「この特約第9条(保険金の請求)(1)に定める時」

第15条(準用規定)

この特約に定めのない事項については、この特約の趣旨に反しないかぎり、普通保険約款およびこの保険契約に付帯された特約の規定を準用します。

附則(責任保険契約についての先取特権に関する特則)

(1)

第12条(先取特権)(1)および(2)の規定は、保険法(平成20年法律第56号)の施行日以後に事故が発生した場合に適用します。

(2)

第12条(先取特権)(3)の規定は、保険法の施行日以後に保険金請求権(注)の譲渡または保険金請求権(注)を目的とする質権の設定もしくは差し押さえがされた場合に適用します。

(注) 保険金請求権
保険法の施行日前に発生した事故に係るものを除きます。

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