エコノミークラスの窮屈な座席に長時間同じ姿勢で座り続けた人に見られたため
エコノミークラス症候群とも呼ばれますが、ビジネスクラスやファーストクラス
でも起きる可能性があります。
原因
:クッションの利いたイスに長時間同じ姿勢で座り続けることで、
膝や大腿の裏が圧迫され血流が悪くなり血栓ができ、足の痛みを起こします。
機内は乾燥しているため脱水になりやすく、血液が濃くなると血栓ができやすく
なります。機内サービスで飲酒しがちですが、アルコールの利尿作用により脱水
が進みます。血栓が血流で流され、肺の血管を詰まらせると(肺塞栓)、呼吸困難
などの症状が起き、時として死に至ることがあります。
症状:DVTの代表的な自覚症状は次の2つです。
1.足や膝が腫れてきます。次いで、ふくらはぎや大腿に激しい痛みがきます。
一般に片足です。
2.肺に血栓が詰まった場合には、突然の呼吸困難や胸痛が起きます。
なお、症状の程度はさまざまです。また、発症は降機直後の場合も、数日後の
こともあります。
危険因子:DVTは、健康な人にも見られますが、以下の要因のある人に多く
みられます。
1.静脈炎、静脈瘤のある人
2.高齢、高身長(窮屈な姿勢になるため)、肥満の人、喫煙者
3.最近手術を受けた人(特に臀部や足の手術をした人、術後3日以内に旅行する人)
4.最近全身麻酔を受けた人、長期間寝たきりだった人、うっ血性心不全のある人
5.妊婦(特に第3期)、出産後1ヶ月間、ピル服用者、ホルモン補充療法中の人
6.がんのある人
予防方法:まだ充分解明されていませんが、以下の予防方法が提案されています。
1.水分を充分に飲んで、脱水を防ぎます。またアルコールの多飲は避けましょう。
2.時々足と体を動かしましょう。通路側の席を取り、時々歩くとよいです。
また、着 座中、時々足の運動をしましょう。座ったままでできる運動の1例
として、床につま先をつけかかとを上げ、足の親指どおしを3秒間押し合う。
次にかかとを床につけてつま先を上げ、同様に足の親指どおしを3秒間押し合う。
これを10回繰り返す運動を、30分に1回行う方法があります。
3.体を締め付ける服を着ないようにします。特に、きついガードルやコルセットは
避けましょう。
抗凝固剤を服用している人は、出発前に主治医と服用量について相談された法が
宜しいでしょう。また、静脈瘤のある人は、主治医と相談の上、弾性ストッキン
グなどを使用する方法があります。
また、欧米ではアスピリンの内服や、ハイリスク者へのヘパリン注射が試みられ
ています。
治療:症状が見られたら、速やかに医療機関を受診してください。