ロングステイ財団、認定アドバイザーがご案内します海外旅行保険の豆知識。
本日は、これから夏休みシーズンに向けて海外旅行を楽しまれる方も多いと思いますが、
日本人が多く渡航する渡航先国の医療事情などをご紹介。
事前にお国事情を知っておくと、安心できるかもしれません。
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1.衛生・医療事情一般
エジプトは北緯22度から32度と南北に長く位置しており、国土の約94%が砂漠及び土漠に覆われ、大部分は乾燥熱帯地域に属しています。平均年間降雨量は、地中海沿岸が200ミリ程度であるのに対し、内陸部にあるカイロ周辺はわずか30ミリ足らずです。一般に冬季(11月~3月)と夏季(5月~9月)に分けられ、その間に短い春と秋があります。1月と2月が最も寒く、最低気温が5度以下になることもあります。2月下旬から5月上旬にかけては砂嵐(ハムシーン)がしばしば発生し、この時期にはアレルギー疾患(鼻炎・皮膚炎・喘息)や呼吸器疾患にかかる人が増加します。4月から10月にかけて気温は上昇し、食中毒や脱水症が急増します。
医療水準は、比較的設備の整った私立病院において、急性虫垂炎などの小手術、骨折や外傷に対する処置ならびに分娩も可能ですが、基本的な衛生概念が欠如しているなど、安心して医療を受けられる水準には達していません。また、輸血の安全性にも問題があります。診察費や検査費用は前払いで、クレジットカードはほとんど利用できません。総合病院の多くが24時間体制で診療を行っています。
2.かかり易い病気・怪我
(1)食中毒:当地で最も頻繁に見られる疾患です。主に細菌やウイルスに汚染された飲食物を経口摂取することにより発症します。主な症状は腹痛、嘔吐、下痢ですが、発熱や倦怠感、血便等を伴うこともあります。潜伏期間はまちまちです。人から人へ直接うつることはありませんが、吐物や排泄物を介して感染することがあります。
(2)ノミ・ダニ:砂嵐の季節に多発するほか、年間を通じて発生しています。ホテルの寝具をはじめ、タクシーやバスの座席にも生息しています。衛生面に問題がありそうな場合は、虫除けスプレーの使用と虫の侵入を予防できるような衣類の着用をお勧めします。
(3)寄生虫症:ビルハルツ充血吸虫症、条虫症、異型吸虫症、アメーバ赤痢、ランブル鞭毛虫症などが挙げられます。この中でも、ビルハルツ住血吸虫はナイル川に生息し、人がナイル川に入ることにより、その幼虫が経皮的に侵入して感染します。初発症状は血尿で、いまなおエジプト人の死因の上位を占める寄生虫症です。近年、異型吸虫に感染する在留邦人が増えています。
(4)A型肝炎:感染者から排泄される糞便で汚染された飲食物(野菜、水、貝類、ミルク等)を経口摂取することによって感染します。発熱、全身倦怠感、食欲不振が主な症状です。ワクチンを接種することにより予防が可能です。
(5)マラリア:流行することはあまりありませんが、隣国スーダンが流行地域であるため、南部のアスワン地域で感染する可能性があります。マラリアを媒介するハマダラカは夜行性なので、夜間外出する際には虫除けスプレーを使用する等、蚊に刺されないための工夫が必要です。なお、当地で入手できるマラリア治療薬はほんの数種類に限られています。
(6)流行性脳脊髄膜炎:主な症状は発熱と頭痛です。通常、髄膜炎菌を鼻咽腔から吸い込むことにより感染します。エジプトでは健常者の約10%近くに保菌者がいるため、体調が悪いときには人ごみや公共交通機関の利用を避けるのが賢明です。カイロにある予防接種センターでワクチンを接種することが可能です。
3.健康上心がける事
(1)生水や水道水は飲用に適していません。屋台や路地で販売されている飲食物も衛生上問題があります。食中毒予防のため、食事はホテルあるいは清潔なレストランで、よく加熱調理されたものを食べるようにしてください。
(2)当地は鳥インフルエンザ流行国です。大使館のホームページ(下記10. その他の医療機関情報入手先参照)等で、流行状況をつねに確認してください。また、野鳥や鳥を扱った市場にはなるべく近づかず、鶏肉や卵を材料とした料理を食する場合は、十分過熱されていることを確認してください。
(3)夏季は日差しが非常に強く、上エジプト(ルクソール、アスワン、アブ・シンベル)では日中の気温が50℃近くになることもあります。観光は朝夕の比較的涼しい時間帯に予定してください。その際には日焼け止めを使用し、帽子着用の上、こまめに水分を補給するよう心掛けてください。
(4)医療費は日本に比べて高額になりますので、海外旅行傷害保険へ加入されることを強くお勧めします。
(5)当地では、処方箋なしに抗生剤など多くの薬剤を薬局で購入することが可能ですが、小児の薬が入手しにくい上、品質やアレルギーの問題もありますので、飲みなれた薬を常備薬として持参してください。
(6)ナイル川では、ビルハルツ住血吸虫に感染する危険性があるため、遊泳はもちろんのこと、手足を水につけたりしないよう注意してください。
(7)地域によっては、野犬や野良猫に遭遇することがあります。これまでに狂犬病の発症も報告されていますので、できるだけ動物には手を出さないよう注意してください。
(8)カイロ市内では、交通マナーが悪い上、慢性的な渋滞による大気汚染が深刻化しています。住宅を選ぶ際には、なるべく交通量の少ない地域を選択することをお勧めします。