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本日は2015年8月現在、インドネシアでの「注意を要する病気」に関するご案内です。
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インドネシア/注意を要する病気③
【腸チフス】
汚染された飲食物から感染します。名前は「腸」となっていますが、全身の細菌感染症です。発熱・全身消耗が主な症状で、治療開始が遅れ重症化すると致命的です。治療が不十分だと長期間排菌を続けますし、一度治っても再発することもあります。予防ワクチンは、日本では未認可ですが、インドネシアでは外人向けクリニックで接種を受けることが出来ます。診断も治療も難しい感染症ですので、職員・家族の希望者に予防接種を実施している日系事業所もあります。
【狂犬病】
狂犬病には特効薬が無く、一度発症したら命が無い恐ろしい感染症です。インドネシアは狂犬病汚染国ですから、居住地・行動範囲や活動内容にもよりますが、予め3回のワクチン接種を済ませておくと無難です。邦人旅行者の多いバリ島でも狂犬病の犠牲者が出ています。
万が一、犬・猫・猿などにかまれた場合は(擦過傷や舐められた場合も)、一刻も早く医療機関を受診し、追加のワクチン接種(暴露後免疫)と、必要に応じて狂犬病免疫グロブリンの注射を受けてください。地元の医療機関に在庫が無く、狂犬病免疫グロブリンの注射を受けるために急遽シンガポール・タイへ飛行機で移動した欧米人旅行者のケースも複数あります。また、日本では狂犬病免疫グロブリンが認可されておらず、注射を受けることが出来ないことも覚えておきましょう。
【結核】
空気感染する細菌感染症で、現在でも治療には半年以上かかります。インドネシアは世界に22 ある結核高負担国の一つで、今でも住民1,000 人につき毎年2人弱が結核を発症あるいは再発しています。
ジャカルタでは運転手からの感染が疑われる外国人の結核患者も発生しています。
予防のためには、子供であれば必ずBCG 接種(重症結核を予防)を受けておくこと、大人であれば、日頃から過労に注意し、糖尿病などの持病がある場合はきちんと治療すること、バランスの良い食生活を心掛けて身体の抵抗力を落とさないことです。
体重減少、寝汗、咳・痰などの症状が数週間続く場合は、医療機関を受診し結核の検査を受けましょう。また、自覚症状がなくても年1回の健康診断(胸部レントゲン撮影ほか)を受けて早期発見に努めると良いでしょう。結核の予防には、本人だけでなく、家族や使用人の健康管理も重要です。
【ウイルス性肝炎】
A型肝炎とE型肝炎は食物や水から経口感染します。A型肝炎はワクチン接種で予防可能で、そのためかインドネシアでA型肝炎を発症する邦人は近年殆どゼロです。他方、E型肝炎は予防ワクチンが無く、在留邦人からもまれに発症者が出ています。B型・C型肝炎は血液や体液を介して感染し、肝硬変や肝癌の原因となります。性行為、輸血、母子感染によって感染することがほとんどです。インドネシアは、東南アジアでもキャリア(無症候性感染)が多い国の一つに挙げられています。
【マラリア】
ハマダラカに刺されて感染する原虫疾患で、治療開始が遅れると重症化し命にも関わります。潜伏期は、多くの場合数日から1か月程で、発熱、悪寒戦慄、頭痛、下痢などで発症します。治療後に再燃(熱帯熱マラリア)や再発(三日熱マラリア)することもあるので、日本赤十字社では、マラリア流行地に居住した場合は原則として3年間は献血を受け付けていません。
ヒトが感染するマラリアには現在5種類が知られていますが、インドネシアでは、一部で熱帯熱マラリアと三日熱マラリアが流行しています。流行の程度(蔓延度)は地域により大きく異なり、ジャワ島・スマトラ島の大都市では流行はありませんが、パプア州、東ヌサトゥンガラ州、中部スラウェシ州、西ヌサトゥガラ州、西カリマンタン州などでは通年流行している模様です。米国CDC の流行度地図(http://www.cdc.gov/malaria/map/)も参考になります。
予防法には、防蚊対策と抗マラリア薬の予防内服があります。流行地に滞在して、1か月以内に悪寒・戦慄・発熱・頭痛などの症状が出た場合は、マラリアの可能性が少なからずありますので、遅くとも数日内に医療機関でマラリアの血液検査を受けてください。