医療事情について

ロングステイ財団、認定アドバイザーがご案内します海外旅行保険の豆知識。

本日も、これから夏休みシーズンに向けて海外旅行を楽しまれる方も多いと思いますが、
日本人が多く渡航する渡航先国の医療事情などをご紹介。
事前にお国事情を知っておくと、安心できるかもしれません。

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1.衛生・医療事情一般
半島マレーシアはマレー半島の南半分を占めており、北はタイと南はシンガポールと相対しています。気候はいわゆる常夏で、日中の気温は年間を通じて24度から32度となりますが、夜間・早朝にかけては比較的涼しくなります。10月から2月が雨季にあたるため降水量が多くなります。

東南アジア諸国の中ではインフラ整備が進んでおり、首都クアラルンプールは非常に近代的な都市です。 しかし都市部を離れるとインフラ・衛生状況も日本とは異なり、上水道は比較的管理されていますが、配管・貯水槽の管理に問題があるためミネラルウォーターや浄水器の使用を勧めます。インドネシアの野焼きによる煙害(ヘイズと呼ばれています)が見られることがあり、目やのどの痛みを訴える人もいます。

医療機関は比較的充実しており、大きな私立病院であれば設備も十分に整っているので特に問題なく受診できます。こうした病院の多くでは海外旅行傷害保険があればキャッシュレスで受診できます。ほとんどの医師は英語を話し、日本人スタッフや日本語での診療が可能な医師が勤務している私立病院もあります。このような医療機関は一般に高額なので、海外旅行傷害保険に加入しておくことを勧めます。

2.かかり易い病気・怪我
(1)急性胃腸炎
細菌・ウイルスによるものが多く、腹痛・下痢(時により発熱や嘔吐)といった症状が起こります。原因となる細菌・ウイルスによっても飲食後発生する時間や症状が異なります。脱水にならないようにスポーツドリンクやお茶などで水分補給をすることにより数日で回復することが多いですが、血便、下痢の続く場合や幼児や体力のない人は、点滴・抗生剤治療・検査が必要な場合もあり医療機関を受診してください。

(2)デング熱
蚊(ネッタイシマカ。日中に活動する)に媒介されるウイルス性感染症です。都市部でも多く発生しており、蚊が発生しやすい雨季に患者も増加します。通常蚊にさされて5日前後で高熱・頭痛(眼の奥が痛むことがある)・関節痛・筋肉痛・食欲の減退といった症状が突発します。治療薬・ワクチンがないため、安静と対症療法になります。時に、デング出血熱に移行し死亡する人もいます。発熱3日目に血液検査を受けて、診断の確定と出血傾向の有無を確認するのがよいでしょう。網戸、長袖、長ズボン、虫除けスプレー、蚊取り線香などを使い、蚊にさされないように防御する事が一番重要です。

(3)マラリア
都市部で感染することはまずありませんが、半島内陸部、特に森林地帯では現在も発生しています。マラリア原虫に感染している蚊(ハマダラカ。夜間に活動する)に刺されることで感染します。マラリアにもいくつかの種類がありますが、その中でも悪性度が高い熱帯熱マラリアについて述べますと、潜伏期間(感染しているが症状がまだ出ていない期間)が約1~2週間(ほとんどが1ヶ月以内に症状が出ます)あり、突然の高熱がおこります。治療はメフロキン、アーテスネイトなどの抗マラリア薬を使用します。治療開始が遅れると脳や腎臓への影響が出てしまい、死亡する危険性があります。通常の観光旅行や都市部での滞在では感染の危険性はまずありませんが、トレッキングツアーやエコツアーなどの自然と触れ合うタイプの旅行の場合には虫除け対策をしっかりと実施してください。

(4)その他の感染症
腸チフス(チフス菌がついた飲食物から感染。発熱だけが症状のこともあります)、A型肝炎・B型肝炎といった病気も東南アジアでは一般的に見られています。A型肝炎は食べ物からB型肝炎は血液・体液から感染しますが、いずれも倦怠感・発熱・黄疸(目の白い部分が黄色くなります:いわゆる黄疸)といった症状が出ます。腸チフス・A・B型肝炎については、予防接種がありますので長期滞在される場合は、接種しておくことをお勧めします。(クアラルンプールのプライベート病院・クリニックなどで接種できます。)

3.健康上心がける事
(1)飲食について
水道水を含め生水は飲まない、加熱した料理を冷めないうちに食べるといった基本的なことは守ってください。年中夏なので、食べ物を常温で置いておくと食中毒が起きやすいので注意。また手洗い・うがいも日頃から習慣としておくことが大事です。

(2)熱中症
気温が高く、日差しも強いため脱水傾向になりがちです。ミネラルウォーター等による十分な水分補給に努めてください。また発汗により体から塩分も抜けていきますので、水だけでなくスープやスポーツドリンクなどもとったほうがよいでしょう。

(3)蚊に刺されないように
長そで・長ズボンの着用や、虫除けスプレーを使用するなどの注意が必要です。

(4)無理の無い日程で
特に短期の旅行の場合には、あまり予定を詰めすぎないように、また、ホテルで就寝時にクーラーをかけ過ぎてのどを痛める人が多いので注意してください。

(5)必要な薬は持参
常用している薬は十分量を日本から持参すること。

(6)海外旅行傷害保険の利用
設備の整った私立病院・クリニックは支払い能力のない人は診察してくれません。海外での治療費は日本と比べ高額ですので、海外旅行傷害保険に加入しておく事を勧めます。

(7)帰国後の注意
帰国後に発熱・下痢等の症状があり医療機関を受診する際は、感染症専門の病院外来を受診し、必ず東南アジアに行っていたことを伝えてください。デング熱などは日本ではまず見かけることがありませんので、海外旅行に行っていたことを伝えることが早期診断・治療につながります。

4.予防接種
(1)赴任者に必要な予防接種~成人・小児~
入国に際して必要とされる予防接種はありません。

推奨の度合い: ◎ 強く ○ できれば △ 感染危険地帯・医療過疎地方など

成人:◎破傷風、◎A型肝炎、◎B型肝炎
○日本脳炎、△腸チフス、△狂犬病
○MMR(麻疹、風疹、流行性耳下腺炎、30才くらいで免疫の低下した人が多い)

小児:日本の定期接種
◎DPT[ジフテリア・百日せき・破傷風]・◎ポリオ・◎ 麻疹[はしか]
◎風疹・◎日本脳炎・◎BCG

任意接種: ◎A型肝炎(米国では1才から、日本では16才から)
◎B型肝炎・◎水痘・○HIB・○流行性耳下腺炎・○インフルエンザ
△腸チフス、△狂犬病、△肺炎球菌

<注意>日本脳炎ワクチンは外国では高額です。その他のワクチンは現地の方が安い場合が多い。

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