フィリピンの医療事情とは?前編

本日は、外務省から発表されている世界の医療事情をご紹介。
本日はフィリピン。
医療事情のご案内です。

1.衛生・医療事情一般

 フィリピンは熱帯モンスーン気候帯に属し、基本的には1年中高温多湿な気候ですが
大まかに乾期(夜間は比較的過ごしやすい:12月から2月)・暑気(最も暑い:3月か
ら5月)・雨期(蒸し暑い:6月から11月)に分かれます。ただし、7000余りの島々か
らなりますので、それぞれの地域によって、気候・疾病が少しずつ異なります。大都
市、特にマニラ首都圏では排気ガスによる大気汚染が強いため、呼吸器系(鼻から気
管支まで)の症状が出やすい環境になっています。(排気ガス規制法は有りますが、
殆ど機能していません。)当地の特徴は、都市部と地方の格差、富裕層と貧困層の格
差が非常に大きいことで、医療においてもマニラ首都圏に専門医や大病院が集中して
います。私立病院は先進国と同じシステムで、救急部(医師・看護師)と病棟(看護
師)・検査部(含むX線)は病院の職員ですが外来部はそれぞれの医師が開業していま
す。市内にはあちこちに薬局が在り、院外処方もこちらで購入します。処方箋なしで
買えるお薬(例えば消化薬・制酸剤・解熱鎮痛薬の一部)も有りますので薬剤師にお
聞き下さい。

2.罹りやすい病気・怪我

 マニラ首都圏にはディーゼル車が多く、排気ガス汚染が強い事、(2)レストラン、
映画館、ホテルなどの冷房が強いため、呼吸器感染症(風邪・咽頭炎・副鼻腔炎・気
管支炎等)を繰り返す人が多いようです。長期に滞在している人でもウイルス性胃腸
炎、アメーバ赤痢、細菌性胃腸炎などを繰り返して起こす人がいるので水・氷・生野
菜などには十分注意が必要です。また、貝毒による食中毒が発生することも有りま
す。蚊が媒介するデング熱は年間2万人近い人が罹っています。マラリアはマニラ首都
圏・セブ島ではここ数年、発生例はありませんが、媒介蚊は生息しています。その他
邦人が利用するリゾート地(パラワン島など)の中には汚染地区もあるのでマラリア
予防薬の服用や蚊に刺されない注意が必要です。薬局で昆虫忌避剤(Off Lotion)を
購入できます。

3.健康上心がけること

 生水は飲まない、強い日差しを防ぐ(特にゴルフ等の戸外スポーツをされる方)、
蚊に刺されない等の注意の他にできるだけ昼寝などを取って体力の消耗を防いで下さ
い。かなり汗をかくので水分を十分に補給することもお勧めします。当地でも殆どの
予防接種は可能ですが、日本製のワクチンは販売されていないので、滞在予定のお子
さんは予防接種をできるだけ日本で済ませて来る方が宜しいでしょう(麻疹・BCG接種
は特に勧めます)。麻疹は年に10,000人前後が発生しており、結核も死亡原因の6位を
占めています。(推定年間新規患者数230,000人で世界7位。)当地でのHIV / AIDSの
発生は未だに低流行段階に留まっていますが(UNAIDSの推計によると 2001年末までの
HIV 感染者数は9,400名)、流行拡大のリスク要因である性病感染率は高く(梅毒・淋
病・クラミジアなど)、注意を要します。

4.予防接種

(1) 赴任者に必要な予防接種~成人・小児
入国に際して必要な予防接種は成人・小児共に有りません。

(2) フィリピン国の小児の定期一般接種

初回/2回目/3回目

BCG:出生後1ヶ月以内/なし/なし

ポリオ:生後1.5ヶ月/2.5ヶ月/3.5ヶ月

DPT:生後1.5ヶ月/2.5ヶ月/3.5ヶ月

麻疹(はしか):生後 9-11ヶ月/なし/なし

B型肝炎:任意

(3) 現地校に入学の歳に必要な予防接種・接種証明書は有りません。

成田空港