本日は、厚生労働省検疫所から発表されております、
海外感染症情報のご案内です。
気をつけていたとしても感染症は、私たちの見えない場所から
知らない間に感染する恐ろしい病気。
「相手を知る」意味でも、ご参考にしていただけたら幸いです。
本日は、「ジフテリア」について。
ジフテリア
Diphteria
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急性の感染性疾患で、原因は毒素を出す細菌ジフテリア菌です。呼吸路(主に喉頭、
扁桃、咽喉)がおかされますが、心臓、腎臓、神経系がおかされることもしばしばあり
ます。この疾患は現在、予防接種が広く普及しているため、多くの地域ではまれな病
気になりました。
1990年以来、ジフテリアの流行は、予防接種率が低かったことが原因で、旧ソ連邦
より独立した国(ロシア共和国、ウクライナ共和国、中央アジア共和国等)で起こ
り、1995年までに48,000件が報告されています。
1 病原体
ジフテリア菌(Corynebacterium diphteriae )が病原体です。Corynebacterium ul
cerans (コリネバクテリウム・ウルセランス)はウシの常在菌ですが、ジフテリアの
類似疾患を起こす病原体として注意が必要です。
2 感染様式
ヒトが感染源で、患者や保菌者の飛沫などから感染します。
3 潜伏期間
1~4日です。
4 症状
発熱・咽頭(のど)痛・嚥下(のみくだす)痛などで始まり、鼻ジフテリアでは血
液を帯びた鼻汁、鼻の穴や上唇のただれがみられます。扁桃・咽頭ジフテリアでは扁
桃・咽頭周辺に白~灰白色の偽膜が形成されます。喉頭ジフテリアは咽頭ジフテリア
から発展する場合が多く、気道にも偽膜が形成されるため、呼吸困難が生じます。膜
形成が声門、気管支まで進展すると、気道閉塞をきたし死に至ることがあります。合
併症としては早期(1~2病週)および回復期(4~6病週)にあらわれる心筋炎がもっ
とも予後不良で、この間は突然死に対する厳重な警戒が必要です。末梢神経炎による
神経麻痺は合併症の頻度として高いが、予後は比較的良好です。
5 治療方法
ジフテリアが疑われる場合は直ちに、抗毒素を筋肉内または経静脈的に投与しま
す。次に、ペニシリンやエリスロマイシンなどの抗生物質で治療します。
6 予防方法
この疾患は、子供の定期予防接種(DPT、三種混合予防ワクチン)および成人用ブース
ター(DT)により予防できます。