本日は、厚生労働省検疫所から発表されております、
海外感染症情報のご案内です。
気をつけていたとしても感染症は、私たちの見えない場所から
知らない間に感染する恐ろしい病気。
「相手を知る」意味でも、ご参考にしていただけたら幸いです。
本日は、アメーバ赤痢について。
【アメーバ赤痢】
Amebiasis
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世界人口のうち、約5億人が従来赤痢アメーバとされた原虫に感染し、そのうち
3,800万人が赤痢、大腸炎や肝膿瘍を発症し、毎年4万~11万人が死亡しています。
赤痢アメーバは世界各地に分布しています。海外渡航者が感染することが多いとい
われていましたが、近年では国内感染による発症例が多く、福祉施設などでの集団感
染も報告されています。男性同性愛者にも多くみられ、性感染症(STD)の1つとも考
えられています。
1 感染源
赤痢アメ-バと同定される原虫の感染は、赤痢アメ-バシスト(嚢子)に汚染され
た飲食物などの経口摂取により成立します。シストは胃を経て小腸に達し、そこで脱
シストして栄養型となり、分裂を繰り返して大腸に到達します。
2 潜伏期間
潜伏期は2~3週とされていますが、数ヶ月~数年におよぶこともあります。
3 症状
病型は腸アメーバ症と腸外アメーバ症に大別されます。
◎腸アメーバ症
下痢、粘血便、しぶり腹、鼓腸、排便時の下腹部痛や不快感などの症状を伴う慢性
腸管感染症であり、アメーバ赤痢、アメーバ性大腸炎などの病型を含みます。
典型的なアメーバ赤痢ではイチゴゼリー状の粘血便を排泄しますが、数日~数週間
の間隔で増悪と寛解を繰り返すことが多いです。アメーバ性大腸炎の場合はやはり腹
痛と下痢を主症状としますが、下痢の性状は血便、粘液便など多様です。
◎腸外アメーバ症
潜伏期は2~3週とされるが、数ヶ月~数年におよぶこともあります。肝膿瘍が最も
多く、発熱(38~40℃)、右季肋部痛、同部圧痛、肝腫大、嘔気、嘔吐、体重減少、
寝汗、全身倦怠などを伴います。まれに心嚢、肺、脳、皮膚などのアメーバ症も報
されています。
4 治療方法
第1選択薬はメトロニダゾールです。しかしメトロニダゾールの腸管吸収が速いた
め、腸管内の虫体を完全に殺滅できないことがあります。そのためしばしばテトラサ
イクリンあるいはフラミドを併用します。赤痢症状が強いときは食物の経口摂取制限
が必要です。
5 予防方法
ワクチンは存在しまないので、不衛生な食べ物を食べないようにし、十分に加熱調
理したものを食べることが重要です。