本日は、厚生労働省検疫所から発表されております、
海外感染症情報のご案内です。
気をつけていたとしても感染症は、私たちの見えない場所から
知らない間に感染する恐ろしい病気。
「相手を知る」意味でも、ご参考にしていただけたら幸いです。
本日は、「高病原性鳥インフルエンザ」について。
高病原性鳥インフルエンザ
High Pathogenic Avian Influenza (HPAI)
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現在の流行は2004年1月頃から東南アジアで始まり、東南アジア、中央アジア、
東アジア、東欧、アフリカなどの地域に拡大しています。
2003年11月以降、ヒト患者の発生が報告されている国は、アゼルバイジャン、カンボ
ジア、中国、ジブチ、エジプト、インドネシア、イラク、タイ、トルコ、ベトナム、
ナイジェリア、ラオス、ミャンマーの計13カ国です。(2007年2月27日、ラオスでも
ヒト患者の発生が報告されました)
万一、将来、現在の高病原性鳥インフルエンザがヒトに対して高感染性・高病原性に
変異すると、世界での大流行する可能性があります。このため現在WHOが中心になり
世界各国で鳥インフルエンザ流行対策が行われています。
高病原性鳥インフルエンザ(H5N1)発生国及び人での発症事例
(2003年11月以降)
(WHO・各国政府の正式な公表に基づく)
2008年2月5日更新資料
(2008.2.1 WHO最終更新)
参考:WHOの確認している発症者数は計357人(うち死亡225人)。
出典:WHO・OIEホームページ
注1) 上図の他、人への感染事例として、
1997年香港(H5N1 18名感染、6人死亡)
2003年香港(H5N1 2名感染、1人死亡)
2003年オランダ(H7N7 89名感染、1人死亡)
2004年カナダ(H7N3 2名感染、死亡なし)
2006年英国(H7N3 1名感染、死亡なし)等がある。
注2) 上図のうち、モンゴル、イタリア、ブルガリア、スロベニア、ギリシャ、
イラン、オーストリア、スロバキア、ハンガリー、ポーランド、スイス、
スウェーデン、チェコ、ボスニアヘルツェゴビナ、英国は野鳥からの検出。
1. 病原体
インフルエンザウイルスA(H5N1)型です。ヒトの通常のインフルエンザはH1N1型(ソ
連型)やH3N2型(香港型)で、これらとは異なります。高病原性鳥インフルエンザは、
鳥に対して高病原性であることからこのように命名されています。
2. 感染様式
鶏等の家禽との濃厚接触で感染することがあります。具体的には、感染した家禽ま
たはその排泄物に汚染された表面や物と直接接触することです。特に感染した家禽の
屠殺、羽の除去、食肉加工、調理準備のリスクが高いと考えられます。
なお、十分に加熱調理された鶏肉や鶏卵等の食物は安全と考えられています。
流行地では、生きた鳥が市場や店頭で売られていたり、庭で鳥を飼育しているよう
な小規模な農家が多く、日常的な鳥との密接な接触でヒトに感染することがあると考
えられています。
現時点ではヒトからヒトへの感染は起きないと考えられています。
3. 潜伏期間
潜伏期は2~7日間と考えられますが、2週間以上の潜伏期を疑わせる事例も報告され
ています。
4. 症状
ヒトの症状は、通常のインフルエンザと同様な高熱、咳などの症状を示す場合と、
急激に全身の臓器に異常を来し多臓器不全に陥り重症化し死に至る場合があります。
5. 治療方法
治療は、発病早期に抗インフルエンザ薬による治療を行います。また、症状に応じ
た治療を行います。
6. 予防・消毒方法
流行地では養鶏場や鳥を扱っている農場、市場には行かないようにしてください。
また、死んだ鳥や弱っている鳥には触れないようにしてください。
2008年2月5日現在、WHOは、ヒト症例が発生しているが、ヒトーヒト間の効率的で
持続的な感染は認められていない段階(フェーズ3)と判断しており、特に渡航制限は勧
告していませんが、旅行者に対し、養鶏場、生きた家禽を扱う市場などでのトリとの
接触を避けるように勧告しています。
7. その他
検疫所では、出国者および入国者に対し、ポスター等による情報提供を行っていま
す。
鳥インフルエンザの流行について
下記地域で高病原性鳥インフルエンザが確認されています。
※ 2003年12月以降、H5N1型鳥インフルエンザヒト患者が報告されている国
・タイ
・ベトナム
・インドネシア
・カンボジア
・中国
・トルコ
・イラク
・アゼルバイジャン
・エジプト
・ジブチ
・ナイジェリア
・ラオス
・ミャンマー
・パキスタン
○高病原性鳥インフルエンザとは?
高病原性鳥インフルエンザとは、鳥インフルエンザの中でも、ニワトリ、カモなど
が死亡してしまう重篤な症状をきたすものをいいます。
ヒトへの感染は稀ですが、感染した鳥との密接な接触、と殺等から、ヒトが感染した
事例が報告されています。
○予防方法
(1)養鶏などの鳥を扱っている農場や市場を訪れない。
(2)弱った鳥や死んだ鳥に触れたりしない。
(3)日常的に手洗い、うがい等で清潔を保つようにする。