本日は、厚生労働省検疫所から発表されております、
海外感染症情報のご案内です。
気をつけていたとしても感染症は、私たちの見えない場所から
知らない間に感染する恐ろしい病気。
「相手を知る」意味でも、ご参考にしていただけたら幸いです。
本日は、ウエストナイル熱について。
【ウエストナイル熱】
West Nile Fever
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ウエストナイルウイルスは、1937年にウガンダのウエストナイル地方で初めて分離
されました。現在、ウエストナイルウイルスは、アフリカ、ヨーロッパ、中東、中央
アジア、西アジア、北米など広い地域に分布しています。北米では、1999年に初めて
ニューヨークでウエストナイルウイルスが確認され、62名の脳炎患者が発生し、その
うちの7名が死亡しました。2004年、米国では患者2,470名、死亡患者88名、カナダで
は患者25名、死亡患者0名が報告されています。ウエストナイルウイルスは感染して
も、大部分の人は無症状か感冒様症状が見られるだけで回復します。
しかし、まれに脳炎などの重篤な症状を呈する患者もみられています。
ヒトからヒトへの感染はありませんが、輸血、臓器移植、母乳を介しての感染を疑
わせる報告があります。
1 病原体
ウエストナイルウイルス。フラビウイルス科フラビウイルス属に属します。
日本脳炎ウイルスやセントルイス脳炎などに近いものです。鳥類に感染しますが、
時にはヒトにも感染します。
2 感染様式
蚊に刺されることで感染します。
3 症状
(a)ウエストナイル熱
・多くの人は無症状か感冒の様な症状のみ(症状が出るのは約20%)
・重症患者は感染者の1%(主に高齢者)
潜伏期間は通常2~6日間の潜伏期の後、突然の発熱(39℃以上)で発症します。
3~6日間の発熱、頭痛、背部の痛み、筋肉痛、食欲不振などの症状があり、約半数
で発疹が胸部、肺、上肢にみられます。
症状は通常1週間以内で快復しますが、その後倦怠感が残ることも多くあります。
(b)ウエストナイル脳炎
上記の症状に加え、激しい頭痛、高熱、方向感覚の欠如、麻痺、昏睡、震え、痙攣
などの髄膜炎・脳炎症状を呈します。
重篤な症状を示すのは、感染者の約1%といわれています。
これらは主に高齢者にみられ、致命率は重症患者の3~15%といわれています。
ニューヨークで流行した脳炎では筋力低下が40%の患者にみられたことが特徴的
です。
4 予防方法
蚊に刺されないようにする。
・露出している皮膚への蚊除け剤の使用。
・戸外へでる時は、できる限り長袖、長ズボンを身につける。
5 治療方法
特異的治療法はなく、対症療法のみです。