連携プレーの列車内泥棒

 最近は世界各国の列車での旅風景を紹介するテレビ番組も増えています。
 個人旅行をされる方々にとって、時間と空間が満喫できる列車の旅は確かに
魅力的なものですが、一方で、列車という特殊な環境を利用した犯罪にも注意
しなければなりません。

『ベルギーからオランダに向かう列車に一人で乗っていた日本人旅行者Aさん。
Aさんが一人で座っていると、一人の男性がAさんの向かい側に座ってきた。
しばらくして、その男性はAさんの目の前で携帯電話をかけ始めた。次の駅でその
男性は降りたが、Aさんが男性の座っていた席に目をやると、先ほど男性が使って
いた携帯電話が置きっぱなしになっていた。Aさんは、急いで男性に渡してやろう
と、その携帯電話を手にとって、男性を追いかけた。
 何とか、男性に手渡すことができ、ホッとして席に帰ってきたAさん。そこで、
自分の手荷物がなくなっていることに気が付いた。』

 

『イタリア国内を列車で移動中の日本人旅行者Bさん。ミラノの駅に停車中、
一人の外国人が窓の外からしきりに窓をたたき、Bさんに何かを伝えようとして
いた。Bさんは、その外国人の言動を読みとろうと、窓側に視線を釘付けにして
いた。しばらくして、その外国人は何事もなかったかのように、Bさんの視界から
消えていった。Bさんは、何がおこったのか意味がわからないまま、もとの座席に
視線を移すと、自分の荷物が盗まれていた。』

 犯罪手口は、日進月歩です。犯罪者は常に新たな手口を開発し、その成功事例が
各地の犯罪者に伝わり、普及していくものです。特に列車内での犯罪は、実に巧妙
な手口が次から次へと生まれ、その度に多くの日本人渡航者が煮え湯を飲まされて
います。

 ここに挙げた事例も、列車という乗り物の特徴を利用した手口ですが、いずれも
実行犯とは別にターゲットの注意を引く役が存在し、互いがタイミングを図りなが
ら、連携プレーで犯罪を実行するという共通点があります。しかも、気が付いたと
きは、犯人はもうその列車にいないという場合がほとんどですから困ったものです。

 こうした犯罪から身を守れるか否かは、とっさの状況判断ももちろん大事ですが、
予備知識の有無にも大きく左右されます。そして何よりも、普段から自分の荷物の
存在を常に意識しておくという心構えが重要になってきます。

飛行機

あなたのスキを狙っている犯罪者がいることを忘れずに。