中高年の自然体験ツアーに降りかかる災難

日本は言わずと知れた世界一の長寿国です。
しかも、ただ長寿というだけではなく、健康で元気なお年寄りの多さでも、
世界有数の国と言えるでしょう。

 2003年には、70歳を越えるプロスキーヤー、三浦雄一郎さんがエベレスト
登頂の世界最高齢記録を達成し、世界をあっと言わせました。三浦さんの父、
敬三さんにおかれては、齢99歳にしてモンブランでのスキー滑降を成功させて
います。三浦ファミリーは別格としても、近年の日本人高齢者のバイタリティには
感動すら覚えるものがあります。

 一方で、高齢者の海外旅行の形態も、大きく様変わりしてきました。
 最近では、一般の高齢者の方々でも、トレッキングやスキューバダイビングなど、
大自然を体験するメニューが海外旅行に組み込まれている例も多く見られます。
 それに伴い、海外ツアー、とりわけ自然体験ツアーでの事故が増加しているのが
現状です。

『中米コスタリカの森林を探索中の日本人高齢者ツアー一行(6名)。
森林の中に架かる吊り橋を歩行中、突然、吊り橋を支えていたワイヤーが切れ、
反動で5名が谷に投げ出された。3名は比較的軽傷であったが、60代の2名が骨折や
内臓損傷等の重傷を負い、入院を余儀なくされた。』

『ハワイに旅行中の60代のご夫婦。日本での経験は比較的浅かったが現地
インストラクターの指導のもと、スキューバダイビングに挑戦した。
二人でかなりの深みまで潜ったところ、妻の様子が急におかしくなった。
インストラクターが急いで水中から救出し、病院に直行したが、まもなく死亡
した。』

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ヨーロッパの記録的な猛暑も影響し、アルプス登山での滑落事故が
相次ぎましたが、その中の多くは50歳以上の中高齢者でした。

 ほとんどの事例は不慮の事故には違いありませんが、中には高齢者であるがゆえ
の事故も少なくありません。
 元気を過信して、無理なスケジュールを組んだことが、予想もしない災難に
見舞われることにもなりかねません。
 高齢者になればなるほど、自らの体力と相談しながら、安全な旅行計画を立てる
ことも大切でしょう。

山登りは下山を終えたときが到着点といいます。海外旅行も同じく、
健康のうちに帰国して、初めて成功と言えるのではないでしょうか。