携行品損害補償特約

第1章 用語の定義条項

第1条(用語の定義)

この特約において、次の用語の意味は、それぞれ次の定義によります。

用語 定義
携行品損害保険金額

保険証券記載の携行品損害保険金額をいいます。

乗車券等

鉄道・船舶・航空機の乗車船券・航空券(注)、宿泊券、観光券および旅行券をいいます。

(注) 乗車船券・航空券・定期券は除きます。

他の保険契約等

第2条(保険金を支払う場合)の全部または一部に対して支払責任が同じである他の保険契約または共済契約をいいます。

保険価額

損害が生じた地および時における保険の対象の価額をいいます。

保険金

携行品損害保険金をいいます。

保険事故

保険の対象の損害の原因となった第2条(保険金を支払う場合)の事故をいいます。

第2章 補償条項

第2条(保険金を支払う場合)

当会社は、被保険者が責任期間中に生じた偶然な事故によって保険の対象について被った損害に対して、この特約および普通保険約款の規定に従い、携行品損害保険金を支払います。

第3条(保険金を支払わない場合)

当会社は、次の1.から14.までのいずれかに該当する事由によって生じた損害に対しては、携行品損害保険金を支払いません。

  1. 保険契約者(注1)または被保険者の故意または重大な過失
  2. 携行品損害保険金を受け取るべき者の故意または重大な過失
  3. 被保険者が次のa.~c.までのいずれかに該当する間に生じた事故
    1. 法令に定められた運転資格(注2)を持たないで自動車等を運転している間
    2. 酒に酔った状態(注3)で自動車等を運転している間
    3. 麻薬、大麻、あへん、覚せい剤、シンナー等の影響により正常な運転ができないおそれがある状態で自動車等を運転している間
  4. 戦争、外国の武力行使、革命、政権奪取、内乱、武装反乱その他これらに類似の事変。ただし、テロ行為(注4)を除きます。
  5. 核燃料物質(注5)もしくは核燃料物質(注5)によって汚染された物(注6)の放射性、爆発性その他の有害な特性またはこれらの特性による事故
  6. 4.もしくは5.の事由に随伴して生じた事故またはこれらに伴う秩序の混乱に基づいて生じた事故
  7. 5.以外の放射線照射または放射能汚染
  8. 差し押え、徴発、没収、破壊等国または公共団体の公権力の行使。ただし、次のa.またはb.のいずれかに該当する場合は、携行品損害保険金を支払います。
    1. 火災消防または避難に必要な処置としてなされた場合
    2. 施錠された被保険者の手荷物が、空港等における安全確認検査等の目的でその錠を壊された場合
  9. 保険の対象の欠陥。ただし、保険契約者、被保険者またはこれらの者に代わって保険の対象を管理する者が、相当の注意をもってしても発見しえなかった欠陥を除きます。
  10. 保険の対象の自然の消耗または性質によるさび、かび、変色その他類似の事由またはねずみ食い、虫食い等
  11. 保険の対象のすり傷、掻き傷または塗料のはがれ等単なる外観の損傷であって保険の対象の機能に支障をきたさない損害
  12. 保険の対象である液体の流出。ただし、その結果として他の保険の対象に生じた損害については、携行品損害保険金を支払います。
  13. 保険の対象の置き忘れまたは紛失
  14. 偶然な外来の事故に直接起因しない保険の対象の電気的事故または機械的事故。ただし、これらによって発生した火災による損害を除きます。
  • (注1) 保険契約者
    法人である場合は、その理事、取締役または法人の業務を執行するその他の機関をいいます。
  • (注2) 運転資格
    運転する地における法令によるものをいいます。
  • (注3) 酒に酔った状態
    アルコールの影響により正常な運転ができないおそれがある状態をいいます。
  • (注4) テロ行為
    政治的、社会的もしくは宗教・思想的な主義・主張を有する団体・個人またはこれと連帯するものがその主義・主張に関して行う暴力的行動をいいます。
  • (注5) 核燃料物質
    使用済燃料を含みます。
  • (注6) 核燃料物質(注5)によって汚染された物
    原子核分裂生成物を含みます。

第4条(保険の対象およびその範囲)

(1)

保険の対象は、被保険者が旅行行程中に携行する次の1.または2.に該当する身の回り品にかぎります。

  1. 被保険者が所有する物
  2. 旅行行程開始前に被保険者がその旅行のために他人から無償で借りた物

(2)

(1)の身の回り品が被保険者の居住施設内(注1)にある間は、保険の対象に含まれません。

(3)

(1)の規定にかかわらず、次の1.から10.までに掲げる物は、保険の対象に含まれません。

  1. 通貨、小切手、株券、手形その他の有価証券、印紙、切手その他これらに準ずる物。ただし、乗車券等を除きます。
  2. 預金証書または貯金証書(注2)、クレジットカード、運転免許証(注3)その他これらに類する物。ただし、旅券を除きます。
  3. 稿本、設計書、図案、帳簿その他これらに準ずる物
  4. 船舶(注4)、自動車、原動機付自転車およびこれらの付属品
  5. 被保険者が普通保険約款別表2に掲げる運動等を行っている間のその運動等のための用具およびウィンドサーフィン、サーフィンその他これらに準ずる運動を行うための用具
  6. 義歯、義肢、コンタクトレンズその他これらに類する物
  7. 動物および植物
  8. 商品もしくは製品等または業務の目的のみに使用される設備もしくは什器等
  9. データ、ソフトウエアまたはプログラム等の無体物
  10. その他保険証券記載の物
  • (注1) 居住施設内
    居住施設が一戸建住宅の場合はその住宅の敷地内、集合住宅の場合は被保険者が居住している戸室内をいいます。
  • (注2) 預金証書または貯金証書
    通帳およびキャッシュカードを含みます。
  • (注3) 運転免許証
    自動車等の運転免許証を除きます。
  • (注4) 船舶
    ヨット、モーターボートおよびボートを含みます。

第5条(損害額の決定)

(1)

当会社が携行品損害保険金を支払うべき損害額は、保険価額によって定めます。

(2)

保険の対象の損傷を修繕し得る場合においては、保険の対象を損害発生直前の状態に復するに必要な修繕費をもって損害額とし、格落損(注1)は損害額に含めません。

(3)

保険の対象が1組または1対のものからなる場合において、その一部に損害が生じたときは、その損害がその保険の対象全体の価値に及ぼす影響を考慮し、(1)および(2)の規定によって損害額を決定します。

(4)

第7条(損害の発生)(4)の費用を保険契約者または被保険者が負担した場合は、その費用および(1)から(3)までの規定によって計算された額の合計額を損害額とします。

(5)

(1)から(4)までの規定によって計算された損害額が、その損害の生じた保険の対象の保険価額を超える場合は、その保険価額をもって損害額とします。

(6)

(1)から(5)までの規定にかかわらず、保険の対象が乗車券等の場合においては、その乗車券等の経路および等級の範囲内で、保険事故の後に被保険者が支出した費用および保険契約者または被保険者が負担した第7条(損害の発生)(4)の費用の合計額を損害額とします。

(7)

(1)から(5)までの規定にかかわらず、保険の対象が旅券の場合は、次の1.および2.に掲げる費用を損害額とします。ただし、1回の保険事故について5万円を限度とします。

  1. 旅券の再取得費用
    保険事故の結果、旅券の発給申請を行う場合は、再取得に要した次のa.~c.までに掲げる費用
    1. 保険事故の生じた地から旅券発給地(注2)へ赴く被保険者の交通費
    2. 領事官に納付した発給手数料および電信料
    3. 旅券発給地(注2)における被保険者の宿泊施設の客室料
  2. 渡航書の取得費用
    保険事故の結果、旅券の発給申請に替えて渡航書の発給申請を行う場合は、取得に要した次のa.~c.までに掲げる費用
    1. 保険事故の生じた地から渡航書発給地(注3)へ赴く被保険者の交通費
    2. 領事官に納付した発給手数料
    3. 渡航書発給地(注3)における被保険者の宿泊施設の客室料

(8)

(1)から(5)までの規定にかかわらず、保険の対象が自動車等の運転免許証の場合は、国または都道府県に納付した再発給手数料を損害額とします。

(9)

保険の対象の1個、1組または1対について損害額が10万円を超える場合は、当会社は、そのものの損害額を10万円とみなします。ただし、保険の対象が乗車券等である場合において、保険の対象の損害額の合計が5万円を超えるときは、当会社は、そのものの損害額を5万円とみなします。

  • (注1) 格落損
    価値の下落をいいます。
  • (注2) 旅券発給地
    旅券の発給申請を行う最寄りの在外公館所在地をいいます。
  • (注3) 渡航書発給地
    渡航書の発給申請を行う最寄りの在外公館所在地をいいます。

第6条(保険金の支払額)

(1)

当会社が支払うべき携行品損害保険金の額は、前条の損害額から、1回の保険事故につき保険証券記載の免責金額を差し引いた残額とします。ただし、携行品損害保険金額をもって、保険期間中の支払の限度とします。

(2)

(1)のただし書の規定にかかわらず、盗難、強盗および航空会社等寄託手荷物の不着により保険の対象に被った損害に対して支払うべき携行品損害保険金は、保険証券記載の盗難等限度額または携行品損害保険金額のいずれか低い額をもって、保険期間中の支払の限度とします。

(3)

携行品損害保険金支払の対象となる保険の対象が保険証券記載の物の場合は、その損害の全部または一部に対して、代品の交付をもって携行品損害保険金の支払に代えることができます。

第7条(損害の発生)

(1)

保険契約者または被保険者は、保険事故が発生したことを知った場合は、次の1.から5.までに掲げる事項を履行しなければなりません。

  1. 損害の発生および拡大の防止につとめること。
  2. 損害発生の日時、場所、損害状況、損害の程度およびこれらの事項について証人がある場合は、その者の住所、氏名を、遅滞なく、当会社に通知すること。この場合において、当会社が書面等による通知を求めたときは、これに応じなければなりません。
  3. 他人に対して損害賠償の請求をすることができる場合は、その権利の保全または行使に必要な手続をすること。
  4. 他の保険契約等に関する事実の有無および内容(注)について遅滞なく当会社に通知すること。
  5. 1.から4.までのほか、当会社が特に必要とする書類または証拠となるものを求めた場合は、遅滞なく、これを提出し、また当会社が行う損害の調査に協力すること。

(2)

保険契約者または被保険者が正当な理由がなく(1)の1.から5.までの規定に違反した場合は、当会社は、次の金額を差し引いて携行品損害保険金を支払います。

  1. (1)の1.に違反した場合は、損害の発生または拡大を防止することができたと認められる額
  2. (1)の2.、4.または5.の規定に違反した場合は、それによって当会社が被った損害の額
  3. (1)の3.に違反した場合は、他人に損害賠償の請求をすることによって取得することができたと認められる額

(3)

保険契約者、被保険者または携行品損害保険金を受け取るべき者が正当な理由がなく(1)の規定による通知もしくは説明について知っている事実を告げなかった場合もしくは事実と異なることを告げた場合は、当会社は、それによって当会社が被った損害の額を差し引いて携行品損害保険金を支払います。

(4)

当会社は、次の1.または2.に掲げる費用を支払います。

  1. (1)の1.の損害の発生または拡大の防止のために要した費用のうちで必要または有益であった費用
  2. (1)の3.に規定する権利の保全または行使に必要な手続をするために要した費用

(注) 他の保険契約等に関する事実の有無および内容
既に他の保険契約等から保険金または共済金の支払を受けた場合は、その事実を含みます。

第8条(保険金の請求)

(1)

この特約にかかる保険金の当会社に対する保険金請求権は、保険事故が発生した時から発生し、これを行使することができるものとします。

(2)

この特約にかかる保険金の請求書類は、次の①から⑦までに掲げる書類とします。

  1. 保険金請求書
  2. 保険証券
  3. 当会社の定める事故状況報告書
  4. 警察署またはこれに代わるべき第三者の事故証明書
  5. 保険の対象の損害の程度を証明する書類
  6. 携行品損害保険金の請求の委任を証する書類および委任を受けた者の印鑑証明書(注)
  7. その他当会社が普通保険約款第27条(保険金の支払時期)(1)に定める必要な事項の確認を行うために欠くことのできない書類または証拠として保険契約締結の際に当会社が交付する書面等において定めたもの

(注) 印鑑証明書
携行品損害保険金の請求を第三者に委任する場合とします。

第9条(被害物の調査)

保険の対象について損害が生じた場合は、当会社は、保険の対象および損害の調査と関連して当会社が必要と認める事項を調査することができます。

第10条(他の保険契約等がある場合の保険金の支払額)

(1)

第2条(保険金を支払う場合)の損害に対して保険金を支払うべき他の保険契約等がある場合において、それぞれの支払責任額の合計額が損害額を超えるときは、当会社は、次に定める額を携行品損害保険金として支払います。

  1. 他の保険契約等から保険金または共済金が支払われていない場合
    この保険契約の支払責任額
  2. 他の保険契約等から保険金または共済金が支払われた場合
    損害額から、他の保険契約等から支払われた保険金または共済金の合計額を差し引いた残額。ただし、この保険契約の支払責任額を限度とします。

(2)

(1)の損害額は、それぞれの保険契約または共済契約に免責金額の適用がある場合は、そのうち最も低い免責金額を差し引いた額とします。

第11条(残存物の帰属)

当会社が携行品損害保険金を支払った場合は、保険の対象の残存物は、当会社がこれを取得する旨の意思を表示しないかぎり、被保険者の所有に属するものとします。

第12条(代位)

(1)

第2条(保険金を支払う場合)の損害が生じたことにより被保険者が損害賠償請求権その他の債権を取得した場合において、当会社がその損害に対して携行品損害保険金を支払ったときは、その債権は当会社に移転します。ただし、移転するのは次の1.または2.のいずれかの額を限度とします。

  1. 当会社が損害の額の全額を携行品損害保険金として支払った場合
    被保険者が取得した債権の全額
  2. 1.以外の場合
    被保険者が取得した債権の額から、携行品損害保険金が支払われていない損害の額を差し引いた額

(2)

(1)の2.の場合において、当会社に移転せずに被保険者が引き続き有する債権は、当会社に移転した債権よりも優先して弁済されるものとします。

(3)

保険契約者、被保険者および携行品損害保険金を受け取るべき者は、当会社が取得する(1)または(2)の債権の保全および行使ならびにそのために当会社が必要とする証拠および書類の入手に協カしなければなりません。このために必要な費用は、当会社の負担とします。

第13条(普通保険約款の適用除外)

普通保険約款第3条(保険金を支払わない場合-その1)から第5条(保険金の支払額)まで、同第10条(職業または職務の変更に関する通知義務)、同第20条(保険料の取扱い-告知義務・通知義務に伴う変更等の場合)(2)および(6)、同第25条(事故の通知)ならびに同第31条(代位)の規定は適用しません。

第14条(普通保険約款の読み替え)

この特約については、普通保険約款を次のとおり読み替えて適用します。

  1. 第2条(保険金を支払う場合)(4)の規定中「(1)の規定」とあるのは「この特約第2条(保険金を支払う場合)の規定」
  2. 第11条(目的地の変更に関する通知義務)(2)および(3)の規定中「保険金額」とあるのは「携行品損害保険金額」
  3. 第27条(保険金の支払時期)(注1)の規定中「前条(2)および(4)」とあるのは「この特約第8条(保険金の請求)(2)および普通保険約款第26条(保険金の請求)(4)」
  4. 第30条(時効)の規定中「第26条(保険金の請求)(1)に定める時」とあるのは「この特約第8条(保険金の請求)(1)に定める時」

第15条(準用規定)

この特約に定めのない事項については、この特約の趣旨に反しないかぎり、普通保険約款およびこの保険契約に付帯された特約の規定を準用します。

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