救援者費用等補償特約
第1章 用語の定義条項
第1条(用語の定義)
この特約において、次の用語の意味は、それぞれ次の定義によります。
用語 | 定義 |
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救援者 | 被保険者の捜索(注1)、看護または事故処理を行うために現地へ赴く被保険者の親族(注2)をいいます。
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救援者費用等保険金額 | 保険証券記載の救援者費用等保険金額をいいます。 |
現地 | 事故発生地、被保険者の収容地または被保険者の勤務地をいいます。 |
他の保険契約等 | 第2条(保険金を支払う場合)の全部または一部に対して支払責任が同じである他の保険契約または共済契約をいいます。 |
保険金 | 救援者費用等保険金をいいます。 |
保険事故 | この特約においては、被保険者が第2条(保険金を支払う場合)(1)の1.から4.までのいずれかに該当することをいいます。 |
第2章 補償条項
第2条(保険金を支払う場合)
(1)
当会社は、被保険者が次の1.から4.までのいずれかに該当したことにより、保険契約者、被保険者または被保険者の親族が負担した費用を、この特約および普通保険約款の規定に従い、救援者費用等保険金としてその費用の負担者に支払います。
- 被保険者が死亡した場合で、次のa.~d.までのいずれかに該当したとき。
- 責任期間中に被った傷害を直接の原因として事故の発生の日からその日を含めて180日以内に死亡した場合。
- 疾病または歯科疾病、妊娠、出産、早産もしくは流産を直接の原因として責任期間中に死亡した場合。
- 責任期間中に発病した疾病を直接の原因として、責任期間が終了した日からその日を含めて30日以内に死亡した場合。ただし、責任期間中に医師の治療を開始し、かつ、その後も引き続き医師の治療を受けていた場合にかぎります。
- 責任期間中に被保険者が自殺行為を行った場合で、その行為の日からその日を含めて180日以内に死亡したとき。
- 被保険者が入院した場合で、次のa.またはb.のいずれかに該当したとき。
- 責任期間中に被った傷害を直接の原因として継続して3日以上入院(注1)した場合。
- 責任期間中に発病した疾病(注2)を直接の原因として継続して3日以上入院したとき。ただし、責任期間中に医師の治療を開始していた場合にかぎります。
- 責任期間中に被保険者が搭乗している航空機もしくは船舶が行方不明になった場合もしくは遭難した場合または被保険者が山岳登はん(注3)中に遭難した場合
- 責任期間中に急激かつ偶然な外来の事故によって被保険者の生死が確認できない場合または緊急な捜索・救助活動を要する状態となったことが警察等の公的機関により確認された場合
(2)
(1)の1.または2.の、発病の時期、発病の認定、治療を開始した時期等は、医師の診断によります。
(3)
(1)の3.の山岳登はん(注3)中の被保険者の遭難が明らかでない場合において、被保険者が下山予定期日の翌日午前0時以降48時間を経過しても下山しなかったときは、保険契約者または被保険者の親族もしくはこれらに代わる者が次の1.から3.までに掲げるもののいずれかに対して、被保険者の捜索を依頼したことをもって、遭難が発生したものとみなします。
- 警察その他の公的機関
- サルベージ会社または航空会社
- 遭難救助隊
(4)
(1)の規定にかかわらず、保険契約者等(注4)が当会社と提携する機関から次条1.から6.までに掲げる費用の請求を受けた場合において、保険契約者等(注4)がその機関への救援者費用等保険金の支払を当会社に求めたときは、当会社は、保険契約者等(注4)がその費用を(1)の費用として負担したものとみなして救援者費用等保険金をその機関に支払います。
- (注1) 入院
他の病院または診療所に移転した場合は、移転のために要した期間は入院中とみなします。ただし、その移転について治療のため医師が必要と認めた場合にかぎります。 - (注2) 疾病
妊娠、出産、早産、流産およびこれらに起因する疾病および歯科疾病を含みません。 - (注3) 山岳登はん
ピッケル、アイゼン、ザイル、ハンマー等の登山用具を使用するものをいいます。 - (注4) 保険契約者等
保険契約者、被保険者または被保険者の親族をいいます。
第3条(費用の範囲)
前条(1)の費用とは、次の1.から6.までに掲げるものをいいます。
- 捜索救助費用
遭難した被保険者を捜索(注1)する活動に要した費用のうち、これらの活動に従事した者からの請求に基づいて支払った費用をいいます。 - 航空運賃等交通費
救援者の現地までの船舶、航空機等の往復運賃をいい、救援者3名分を限度とします。ただし、前条(1)の4.の場合において、被保険者の生死が判明した後または被保険者の緊急な捜索(注1)もしくは救助活動が終了した後に現地に赴く救援者にかかる費用は除きます。 - 宿泊施設の客室料
現地および現地までの行程における救援者の宿泊施設の客室料をいい、救援者3名分を限度とし、かつ、救援者1名につき14日分を限度とします。ただし、前条(1)の4.の場合において、被保険者の生死が判明した後または被保険者の緊急な捜索(注1)もしくは救助活動が終了した後に現地に赴く救援者にかかる費用は除きます。 - 移送費用
死亡した被保険者を現地から保険証券記載の被保険者の住所に移送するために要した遺体輸送費用または治療を継続中の被保険者を保険証券記載の被保険者の住所もしくはその住所の属する国の病院もしくは診療所へ移転するために要した移転費(注2)をいいます。ただし、次のa.およびb.に掲げる費用はこの費用の額から除きます。- 被保険者が払戻しを受けた帰国のための運賃または被保険者が負担することを予定していた帰国のための運賃
- 普通保険約款第5条(保険金の支払額)(1)の1.または3.により支払われるべき費用
- 遺体処理費用
死亡した被保険者の火葬費用、遺体防腐処理費用等の遺体の処理費用をいい、100万円を限度とします。なお、花代、読経代および式場費等の葬儀費用等遺体の処理とは直接関係がない費用は含みません。 - 諸雑費
救援者の渡航手続費(注3)ならびに救援者または被保険者が現地において支出した交通費、被保険者の入院もしくは救援に必要な身の回り品購入費および国際電話料等通信費等をいい、20万円を限度とします。ただし、普通保険約款第5条(保険金の支払額)(1)の2.により支払われるべき費用については除きます。
- (注1) 捜索
捜索、救助または移送をいいます。 - (注2) 移転費
治療のため医師または職業看護師が付添うことを要する場合は、その費用を含みます。ただし、貸切航空便による運送を含む不定期航空運送のチャーター料金は、治療上の必要により定期航空運送による移送が困難であると医師が認めた場合にかぎり費用の範囲に含めます。 - (注3) 渡航手続費
旅券印紙代、査証料、予防接種料等をいいます。
第4条(保険金を支払わない場合)
(1)
当会社は、次の1.から9.までのいずれかに該当する事由によって第2条(保険金を支払う場合)(1)の1.から4.までのいずれかに該当したことにより発生した費用に対しては、救援者費用等保険金を支払いません。
- 保険契約者(注1)または被保険者の故意または重大な過失。ただし、被保険者が第2条(1)の1.d.に該当した場合は救援者費用等保険金を支払います。
- 救援者費用等保険金を受け取るべき者の故意または重大な過失。ただし、その者が救援者費用等保険金の一部の受取人である場合は、救援者費用等保険金を支払わないのはその者が受け取るべき金額にかぎります。
- 被保険者の自殺行為、犯罪行為または闘争行為。ただし、被保険者が第2条(1)の1.d.に該当した場合は救援者費用等保険金を支払います。
- 被保険者が次のa.~c.までのいずれかに該当する間に生じた事故
- 法令に定められた運転資格(注2)を持たないで自動車等を運転している間。ただし、第2条(1)のa.に該当した場合は救援者費用等保険金を支払います。
- 酒に酔った状態(注3)で自動車等を運転している間。ただし、第2条(1)の1.a.に該当した場合は救援者費用等保険金を支払います。
- 麻薬、大麻、あへん、覚せい剤、シンナー等の影響により正常な運転ができないおそれがある状態で自動車等を運転している間
- 被保険者に対する刑の執行
- 戦争、外国の武力行使、革命、政権奪取、内乱、武装反乱その他これらに類似の事変。ただし、テロ行為(注4)を除きます。
- 核燃料物質(注5)もしくは核燃料物質(注5)によって汚染された物(注6)の放射性、爆発性その他の有害な特性またはこれらの特性による事故
- 6.もしくは7.の事由に随伴して生じた事故またはこれらに伴う秩序の混乱に基づいて生じた事故
- 7.以外の放射線照射または放射能汚染
(2)
当会社は、被保険者が頸(けい)部症候群(注7)、腰痛その他の症状を訴えている場合であっても、それを裏付けるに足りる医学的他覚所見のないものによって第2条(保険金を支払う場合)(1)の2.に該当したことにより発生した費用に対しては、その症状の原因がいかなるときであっても、救援者費用等保険金を支払いません。
- (注1) 保険契約者
法人である場合は、その理事、取締役または法人の業務を執行するその他の機関をいいます。 - (注2) 運転資格
運転する地における法令によるものをいいます。 - (注3) 酒に酔った状態
アルコールの影響により正常な運転ができないおそれがある状態をいいます。 - (注4) テロ行為
政治的、社会的もしくは宗教・思想的な主義・主張を有する団体・個人またはこれと連帯するものがその主義・主張に関して行う暴力的行動をいいます。 - (注5) 核燃料物質
使用済燃料を含みます。 - (注6) 核燃料物質(注5)によって汚染された物
原子核分裂生成物を含みます。 - (注7) 頸(けい)部症候群
いわゆる「むちうち症」をいいます。
第5条(救援者費用等保険金の支払)
当会社は、第3条(費用の範囲)の費用のうち、社会通念上妥当な部分で、かつ、保険事故と同等のその他の事故に対して通常負担する費用相当額(注)についてのみ救援者費用等保険金を支払います。ただし、被保険者または救援者費用等保険金を受け取るべき者が第三者から損害の賠償として支払を受けることができた場合は、その支払を受けた金額に対しては、救援者費用等保険金を支払いません。
(注) 費用相当額
この保険契約を締結していなければ生じなかった費用を除きます。
第6条(救援者費用等保険金の支払)
当会社がこの保険契約に基づいて支払うべき救援者費用等保険金の額は保険期間を通じ、救援者費用等保険金額をもって限度とします。
第7条(事故の通知)
(1)
保険事故が発生した場合は、保険契約者、被保険者または救援者費用等保険金を受け取るべき者は、保険事故の発生の日からその日を含めて30日以内に次の1.または2.に掲げる事項を当会社に通知しなければなりません。この場合において、当会社が書面等による通知を求めたときは、これに応じなければなりません。
- 第2条(保険金を支払う場合)(1)の1.または2.の場合は、保険事故発生の状況、傷害の程度または疾病の発病の状況および経過
- 第2条(1)の3.または4.の場合は、行方不明もしくは遭難または同条(1)の3.もしくは4.の事故発生の状況
(2)
(1)の場合において、保険契約者、被保険者または救援者費用等保険金を受け取るべき者は、他の保険契約等に関する事実の有無および内容(注)について、遅滞なく当会社に通知しなければなりません。
(3)
保険契約者、被保険者または救援者費用等保険金を受け取るべき者は、(1)および(2)のほか、当会社が特に必要とする書類または証拠となるものを求めた場合は、遅滞なく、これを提出し、また当会社が行う損害の調査に協力しなければなりません。
(4)
保険契約者、被保険者または救援者費用等保険金を受け取るべき者が、正当な理由がなく(1)、(2)または(3)の規定に違反した場合は、当会社は、それによって当会社が被った損害の額を差し引いて救援者費用等保険金を支払います。
(注) 他の保険契約等に関する事実の有無および内容
既に他の保険契約等から保険金または共済金の支払を受けた場合は、その事実を含みます。
第8条(保険金の請求)
(1)
この特約にかかる保険金の当会社に対する保険金請求権は、保険契約者、被保険者または被保険者の親族が費用を負担した時から発生し、これを行使することができるものとします。
(2)
この特約にかかる保険金の請求書類(注1)は、次の1.から6.までに掲げる書類とします。
- 保険金請求書
- 保険証券
- 保険事故発生を証明する書類
- 救援者費用等保険金の支払を受けようとする第3条(費用の範囲)1.から6.までに掲げる費用のそれぞれについて、その費用の支出明細書およびその支出を証明する書類または当会社と提携する機関からのその費用の請求書
- 救援者費用等保険金の請求の委任を証する書類および委任を受けた者の印鑑証明書(注2)
- その他当会社が普通保険約款第27条(保険金の支払時期)(1)に定める必要な事項の確認を行うために欠くことのできない書類または証拠として保険契約締結の際に当会社が交付する書面等において定めたもの
- (注1) 保険金の請求書類
第2条(保険金を支払う場合)(4)の規定により保険契約者、被保険者または被保険者の親族が当会社と提携する機関への救援者費用等保険金の支払を当会社に求める場合の書類を含みます。 - (注2) 印鑑証明書
救援者費用等保険金の請求を第三者に委任する場合とします。
第9条(他の保険契約等がある場合の保険金の支払額)
(1)
第2条(保険金を支払う場合)(1)の費用に対して保険金を支払うべき他の保険契約等がある場合において、それぞれの支払責任額の合計額が第3条(費用の範囲)の費用の額を超えるときは、当会社は、次に定める額を救援者費用等保険金として支払います。
- 他の保険契約等から保険金または共済金が支払われていない場合
この保険契約の支払責任額 - 他の保険契約等から保険金または共済金が支払われた場合
第3条の費用の額から、他の保険契約等から支払われた保険金または共済金の合計額を差し引いた残額。ただし、この保険契約の支払責任額を限度とします。
(2)
(1)の費用の額は、それぞれの保険契約または共済契約に免責金額の適用がある場合は、そのうち最も低い免責金額を差し引いた額とします。
第10条(代位)
(1)
第2条(保険金を支払う場合)(1)の1.から4.までの費用が生じたことにより保険契約者、被保険者または被保険者の親族が損害賠償請求権その他の債権を取得した場合において、当会社がその費用に対して救援者費用等保険金を支払ったときは、その債権は当会社に移転します。ただし、移転するのは、次の額を限度とします。
- 当会社が費用の全額を救援者費用等保険金として支払った場合
保険契約者、被保険者または被保険者の親族が取得した債権の全額 - 1.以外の場合
保険契約者、被保険者または被保険者の親族が取得した債権の額から、救援者費用等保険金が支払われていない費用の額を差し引いた額。
(2)
(1)の2.の場合において、当会社に移転せずに保険契約者、被保険者または被保険者の親族が引き続き有する債権は、当会社に移転した債権よりも優先して弁済されるものとします。
(3)
保険契約者、被保険者および救援者費用等保険金を受け取るべき者は、当会社が取得する(1)または(2)の債権の保全および行使ならびにそのために当会社が必要とする証拠および書類の入手に協力しなければなりません。このために必要な費用は、当会社の負担とします。
第11条(普通保険約款の適用除外)
普通保険約款第3条(保険金を支払わない場合-その1)から第5条(保険金の支払額)まで、同第11条(目的地の変更に関する通知義務)、同第20条(保険料の取扱い-告知義務・通知義務に伴う変更等の場合)(3)および(7)、同第25条(事故の通知)ならびに同第31条(代位)の規定は適用しません。
第12条(普通保険約款の読み替え)
この特約については、普通保険約款を次のとおり読み替えて適用します。
- 第2条(保険金を支払う場合)(4)の規定中「(1)の規定」とあるのは「この特約第 2条(保険金を支払う場合)の規定」
- 第6条(保険金額の削減)(1)の規定中「被った傷害に対し」とあるのは「この特約の保険事故により費用が発生した場合で」
- 第10条(職業または職務の変更に関する通知義務)(2)の規定中「保険金額」とあるのは「救援者費用等保険金額」
- 第10条(3)の規定中「保険金額」とあるのは「救援者費用等保険金額」
- 第10条(4)の規定中「発生した傷害」とあるのは「発生した保険事故による費用」
- 第27条(保険金の支払時期)(注1)の規定中「前条(2)および(4)」とあるのは「この特約第8条(保険金の請求)(2)および普通保険約款第26条(保険金の請求(4)」
- 第30条(時効)の規定中「第26条(保険金の請求)(1)に定める時」とあるのは「この特約第8条(保険金の請求)(1)に定める時」
第13条(準用規定)
この特約に定めのない事項については、この特約の趣旨に反しないかぎり、普通保険約款およびこの保険契約に付帯された特約の規定を準用します。