航空機遅延費用等補償特約
第1章 用語の定義条項
第1条(用語の定義)
この特約において、次の用語の意味は、それぞれ次の定義によります。
用語 | 定義 |
---|---|
交通費 | 宿泊施設への移動に要するタクシー代等の費用または航空機の代替となる他の交通手段を利用した場合の費用をいいます。 |
出発機 | 乗継地から出発する被保険者の搭乗する予定だった航空機をいいます。 |
出発遅延等 | 搭乗する予定だった航空機について生じた出発予定時刻から6時間以上の出発遅延、航空機の欠航もしくは運休をいいます。 |
他の保険契約等 | 第2条(保険金を支払う場合)の全部または一部に対して支払責任が同じである他の保険契約または共済契約をいいます。 |
着陸地変更 | 予定されていた到着地とは別の地に着陸することをいいます。 |
搭乗不能 | 航空運送事業者の搭乗予約受付業務の不備による搭乗不能をいいます。 |
保険金 | 出発遅延・欠航・搭乗不能費用保険金および乗継遅延費用保険金をいいます。 |
保険事故 | 被保険者が費用を負担する原因となった第3条(出発遅延費用等)(1)または第5条(乗継遅延費用)(1)に規定する事由の発生をいいます。 |
旅行サービス | 被保険者が目的地において提供を受けることを予定していたが、提供を受けることができなかった旅行サービスをいいます。 |
旅行サービス提供・手配機関 | 旅行サービスの提供または手配を行う機関をいいます。 |
第2章 補償条項
第2条(保険金を支払う場合)
当会社は、被保険者が、責任期間中に次条または第5条(乗継遅延費用)に規定する損害を被った場合は、この特約および普通保険約款の規定に従い、保険金を支払います。
第3条(出発遅延費用等)
(1)
当会社は、被保険者が出発遅延等もしくは搭乗不能または被保険者が搭乗した航空機について生じた着陸地変更により、その航空機の出発予定時刻(注1)から6時間以内に代替となる他の航空機(注2)を利用できない場合に、被保険者が費用を負担することによって被った損害に対し、出発遅延・欠航・搭乗不能費用保険金を支払います。
(2)
(1)の出発遅延・欠航・搭乗不能費用保険金の支払は、1回の出発遅延等、搭乗不能または着陸地変更について2万円を限度とします。
- (注1) 出発予定時刻
着陸地変更が生じた場合は着陸した時刻をいいます。 - (注2) 代替となる他の航空機
(1)の費用とは、社会通念上妥当な費用であり、かつ、保険事故と同等のその他の事故に対して通常負担する費用相当額とします。また、この保険契約を締結していなければ生じなかった費用を除きます。
第4条(出発遅延費用等の範囲)
(1)
前条(1)の費用とは、次の1.または2.に掲げるものをいいます。
- 出発地(注)において、その航空機の代替となる他の航空機が利用可能となるまでの間に被保険者が負担した宿泊施設の客室料、食事代、交通費および国際電話料等通信費。ただし、被保険者が払戻しを受けた金額、被保険者が負担することを予定していた金額、または2.により支払われるべき金額はこの費用の額から控除します。
- 旅行サービスについて、取消料、違約料、旅行業務取扱料その他の名目において、旅行サービス提供・手配機関との契約上払戻しを受けられない費用またはこれから支払うことを要する費用
(2)
(1)の費用とは、社会通念上妥当な費用であり、かつ、保険事故と同等のその他の事故に対して通常負担する費用相当額とします。また、この保険契約を締結していなければ生じなかった費用を除きます。
(注) 出発地
着陸地変更の場合の着陸した地を含みます。
第5条(乗継遅延費用)
(1)
当会社は、被保険者が到着機(注1)の遅延(注2)によって、出発機に搭乗することができず、到着機(注1)の到着時刻から6時間以内に出発機の代替となる他の航空機を利用できない場合に、被保険者が費用を負担することによって被った損害を、乗継遅延費用保険金として被保険者に支払います。
(2)
(1)の乗継遅延費用保険金の支払は、1回の到着機(注1)の遅延について2万円を限度とします。
(3)
(2)の「1回の到着機(注1)の遅延(注2)」とは、同一の原因に起因して生じた一連の到着機(注1)の遅延をいいます。
- (注1) 到着機
航空機を乗り継ぐ場合において、乗継地に到着する被保険者の搭乗した航空機をいいます。 - (注2) 到着機(注1)の遅延
被保険者が搭乗する予定であった航空機の出発遅延、欠航、運休もしくは搭乗不能または被保険者が搭乗した航空機の着陸地変更により、結果的に乗継地への到着が遅延した場合を含みます。
第6条(乗継遅延費用の範囲)
(1)
前条(1)の費用とは、次の1.または2.に掲げるものをいいます。
- 乗継地において、出発機の代替となる他の航空機が利用可能となるまでの間に被保険者が負担した宿泊施設の客室料、食事代、交通費および国際電話料等通信費。ただし、被保険者が払戻しを受けた金額、被保険者が負担することを予定していた金額、または2.により支払われるべき金額はこの費用の額から控除します。
- 旅行サービスについて、取消料、違約料、旅行業務取扱料その他の名目において、旅行サービス提供・手配機関との契約上払戻しを受けられない費用またはこれから支払うことを要する費用
(2)
(1)の費用とは、社会通念上妥当な費用であり、かつ、同等のその他の事故に対して通常負担する費用相当額とします。また、この保険契約を締結していなければ生じなかった費用を除きます。
第7条(保険金を支払わない場合)
当会社は、次の1.から7.までのいずれかに該当する事由によって生じた費用に対しては、保険金を支払いません。
- 保険契約者(注1)または被保険者の故意もしくは重大な過失または法令違反
- 保険金を受け取るべき者の故意もしくは重大な過失または法令違反
- 戦争、外国の武力行使、革命、政権奪取、内乱、武装反乱その他これらに類似の事変。ただし、テロ行為(注2)を除きます。
- 地震もしくは噴火またはこれらによる津波
- 核燃料物質(注3)もしくは核燃料物質(注3)によって汚染された物(注4)の放射性、爆発性その他の有害な特性またはこれらの特性による事故
- 3.から5.までの事由に随伴して生じた事故またはこれらに伴う秩序の混乱に基づいて生じた事故
- 5.以外の放射線照射または放射能汚染
- (注1) 保険契約者
法人である場合は、その理事、取締役または法人の業務を執行するその他の機関をいいます。 - (注2) テロ行為
政治的、社会的もしくは宗教・思想的な主義・主張を有する団体・個人またはこれと連帯するものがその主義・主張に関して行う暴力的行動をいいます。 - (注2) 核燃料物質
使用済燃料を含みます。 - (注2) 核燃料物質(注3)によって汚染された物
原子核分裂生成物を含みます。
第8条(事故の通知)
(1)
保険事故が発生した場合は、保険契約者、被保険者または保険金を受け取るべき者は、その事故の発生の日からその日を含めて30日以内にその保険事故の発生および遅延等の状況を当会社に書面等により通知し、当会社が説明を求めたときは、これに応じなければなりません。
(2)
(1)の場合において、保険契約者、被保険者または保険金を受け取るべき者は、他の保険契約等に関する事実の有無および内容(注)について、遅滞なく当会社に通知しなければなりません。
(3)
保険契約者、被保険者または保険金を受け取るべき者は、(1)および(2)のほか、当会社が特に必要とする書類または証拠となるものを求めた場合は、遅滞なく、これを提出し、また当会社が行う損害の調査に協力しなければなりません。
(4)
保険契約者、被保険者または保険金を受け取るべき者が、正当な理由がなく(1)から(3)までの規定に違反した場合、またはその通知もしくは説明について知っている事実を告げなかった場合もしくは事実と異なることを告げた場合は、当会社は、それによって当会社が被った損害の額を差し引いて保険金を支払います。
(注) 他の保険契約等に関する事実の有無および内容
既に他の保険契約等から保険金または共済金の支払を受けた場合は、その事実を含みます。
第9条(保険金の請求)
(1)
この特約にかかる保険金の当会社に対する保険金請求権は、被保険者が第2条(保険金を支払う場合)の損害を被った時から発生し、これを行使することができるものとします。
(2)
- 保険金請求書
- 保険証券
- 当会社の定める事故状況報告書
- 航空会社またはこれに代わるべき第三者の遅延証明書
- 第4条(出発遅延費用等の範囲)または第6条(乗継遅延費用の範囲)の費用の支出を証明する領収書または精算書
- 保険金の請求の委任を証する書類および委任を受けた者の印鑑証明書(注)
- その他当会社が普通保険約款第27条(保険金の支払時期)(1)に定める必要な事項の確認を行うために欠くことのできない書類または証拠として保険契約締結の際に当会社が交付する書面等において定めたもの
(注) 印鑑証明書
保険金の請求を第三者に委任する場合とします。
第10条(他の保険契約等がある場合の保険金の支払額)
(1)
第3条(出発遅延費用等)(1)または第5条(乗継遅延費用)(1)の費用に対して保険金を支払うべき他の保険契約等がある場合において、それぞれの支払責任額の合計額が第4条(出発遅延費用等の範囲)または第6条(乗継遅延費用の範囲)の費用の額を超えるときは、当会社は、次に定める額を保険金として支払います。
- 他の保険契約等から保険金または共済金が支払われていない場合
この保険契約の支払責任額 - 他の保険契約等から保険金または共済金が支払われた場合
第4条または第6条の費用の額から、他の保険契約等から支払われた保険金または共済金の合計額を差し引いた残額。ただし、この保険契約の支払責任額を限度とします。
(2)
(1)の費用の額は、第4条(出発遅延費用等の範囲)または第6条(乗継遅延費用の範囲)に規定する費用の額から、次条に規定する給付等の額を控除した額をいい、それぞれの保険契約または共済契約に免責金額の適用がある場合は、そのうち最も低い免責金額を差し引いた額とします。
第11条(他の給付等がある場合)
当会社が保険金を支払うべきこの特約に規定する損害または費用について、次の1.または2.のいずれかの給付等がある場合はその額を、被保険者が負担した費用から差し引くものとします。
- 被保険者が負担した費用について第三者より支払われた損害賠償金 N
- 被保険者が被った損害を補償するために行われたその他の給付(注)
(注) その他の給付
他の保険契約等により支払われた保険金を除きます。
第12条(代位)
(1)
第3条(出発遅延費用等)(1)または第5条(乗継遅延費用)(1)の費用が生じたことにより被保険者が損害賠償請求権その他の債権を取得した場合において、当会社がその費用に対して保険金を支払ったときは、その債権は当会社に移転します。ただし、移転するのは、次の1.または2.のいずれかの額を限度とします。
- 当会社が費用の全額を保険金として支払った場合
被保険者が取得した債権の全額 - 1.以外の場合
被保険者が取得した債権の額から、保険金が支払われていない費用の額を差し引いた額
(2)
(1)の2.の場合において、当会社に移転せずに被保険者が引き続き有する債権は、当会社に移転した債権よりも優先して弁済されるものとします。
(3)
保険契約者、被保険者および保険金を受け取るべき者は、当会社が取得する(1)または(2)の債権の保全および行使ならびにそのために当会社が必要とする証拠および書類の入手に協力しなければなりません。このために必要な費用は、当会社の負担とします。
第13条(普通保険約款の適用除外)
普通保険約款第3条(保険金を支払わない場合-その1)、同第4条(保険金を支払わない場合-その2)、同第10条(職業または職務の変更に関する通知義務)、同第11条(目的地の変更に関する通知義務)、同第20条(保険料の取扱い-告知義務・通知義務に伴う変更等の場合)(2)、(3)、(6)および(7)、同第25条(事故の通知)ならびに同第31条(代位)の規定は適用しません。
第14条(普通保険約款の読み替え)
この特約については、普通保険約款を次のとおり読み替えて適用します。
- 第2条(保険金を支払う場合)(4)の規定中「(1)の規定」とあるのは「この特約第3条(出発遅延費用等)および第5条(乗継遅延費用)の規定」
- 第27条(保険金の支払時期)(注1)の規定中「前条(2)および(4)」とあるのは「この特約第9条(保険金の請求)(2)および普通保険約款第26条(保険金の請求)(4)」
- 第30条(時効)の規定中「第26条(保険金の請求)(1)に定める時」とあるのは「この特約第9条(保険金の請求)(1)に定める時」
第15条(普通保険約款の読み替え)
この特約に定めのない事項については、この特約の趣旨に反しないかぎり、普通保険約款およびこの保険契約に付帯された特約の規定を準用します。